社会政策学会第97回大会
 
報告要旨
 

1998年10月24日(土)・25日(日)
於 岐阜経済大学

 


 
 <共通論題>
   
  目    次
    京都府立大学 小沢修司

     
    2.高齢社会と日本型社会保障財政システムの転換

    山形大学 木村武司

     
    3.高齢社会の医療・介護保障システム

    大阪府立大学 里見賢治

     
    4.「高齢者雇用問題」と高齢社会の就業システム

    大分大学 阿部 誠

     
    5.高齢社会にむけての地域社会づくり

    一橋大学 富沢賢治

     
    6.高齢化社会論と社会政策

    新潟青陵女子短期大学 佐藤 進

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【共通論題報告】

1.少子・高齢社会のインパクトと生活保障政策の再構築

     
    京都府立大学 小沢 修司
    はじめに

    本報告は、高齢社会と裏腹の関係にある少子化の進行に焦点をあてて、わが国における生活保障システムの現状と問題点の析出、ならびに今後の生活保障のあり方について問題提起を行うものである。

     

    1970年代後半以降出生率が低下しつづけ急速な少子化が進んでいる要因は、未婚率の上昇、晩婚化にあることが指摘されている。そこで問われているのは、強固な男女間の固定的性別分業にもとづく日本型家族や日本型経営といった家族のあり方や働き方であり、企業中心社会としての社会経済システムや社会保障制度のあり方である。

     

    報告では、先頃の社会保障制度審議会の勧告等で指摘されている「社会保障と国民負担」と、国民負担における公的負担と私的負担の代替性に着目しながら、わが国社会保障制度が、家族への依存と企業への依存によってその低水準が許容されてきたことの意味なり、その限界性を強調したい。一方での家族への依存は、家計行動としては貯蓄率(家計の黒字率)の高さとなって現れ、他方での企業への依存は、格差構造的な企業福祉を通じて、労働者を企業中心社会に取り込みつつ、総じて厳しい生存競争を国民に強いる社会システムとして機能しているといえよう。

    今日求められているのは、個の自立を支える生活保障と社会システムのあり方を検討することである。個々人を特定の家族観や性別分業意識、さらには企業の縛りから解き放つことが重要である。

     

    以下、報告の柱立ては次の通りである。

     

    1.わが国における少子化の進展と問われる社会システムのあり方

    2.家族の変化と社会保障制度の再構築

    3.生活保障と国民負担

    4.個の自立を支える生活保障と社会システム

     
     

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【共通論題報告】

2.高齢社会と日本型社会保障財政システムの転換

    山形大学 木村 武司


    課題 日本型財政システムの諸特徴(1)が、高齢化と雇用システムの変化により転換をとげつつあることを明らかにし(2)、それの将来を展望する(3)。

    1 日本型社会保障財政システムの諸特徴

    1) 制度的分断
     

      @ 社会保険の世界と福祉六法の世界の分断。

      A 社会階層ごとに分立されたた社会保険。

      B 公的扶助に起源をもつ福祉サービス。措置と費用徴収。
       

    2) 社会保険と税のミックス
     
      @ 税により補完されてきた社会保険。税により達成された国民皆保険・皆年金。

      A 国により設計・運営されてきた社会保険。社会保険基金の自立性のなさ。

      B 国により設計・運営されてきた公的扶助と福祉サービス。

      C 老人医療費公費負担制度。社会保険と福祉の接合。
       

    3) 企業内福祉・企業の労務管理政策にincorporateされてきた社会保険
     
      @ 事実上の退職金としての厚生年金基金上積み部分(←→欧州の協約年金)。

      A 組合健保と付加給付。
       

    2 転換  制度間接合による高齢化への対応、と雇用システムの変化に伴う変化

    1) 医療保険の場合
     

      @ 1982年改正(及び1997年改正)における「労働者保険」としての終了。

      A 1983年、老人保健制度の登場と制度間財政調整(←→英、独、米)。

      B 結果としての政管健保、組合健保の財政悪化と企業内福祉機能の弱まり。

      C 引き続く老人医療費問題。介護保険とさらなる医療保険改革?
       

    2) 年金保険の場合
     
      @ 1985年改革における基礎部分の統合の意味。

      A 1994年改正における雇用政策との調整、とくに高年齢者雇用継続給付。

      B 企業年金の変化の開始。給付確定型から拠出確定型への移行その他の動き。

      C 引き続く基礎年金問題。
       

    3) 福祉サービスの場合
     
      @ 地方自治法改正、福祉八法改正、ゴールドプランと続いた改革。

      A 措置制度の時代の終了。保育所の変質と障害者福祉の動向。

      B 介護保険(医療制度と福祉制度の間のブリッジ)の意味。

         a 財源は公的管理。

         b 公費プラス社会保険方式での財源調達。

         c 供給主体は多様化、市場と競争。

      C 分権化の含意。個別財源保障システムの後退と地域間格差の可能性。
    3 展望

    1) 日本型システムの将来
     

      @ 企業内福祉との融合は? 

      A 社会保険と税のミックスは?

      B 中央集権的性格は?
       

    2) 「社会保険」の意味を再考する
     
      @ 高齢化社会→リスクの分散から集中へ。

      A 焦点としての基礎年金と老人医療費。
       

    3) 社会保障とはなにを「保障」するのか?
     
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【共通論題報告】

3.高齢社会の医療・介護保障システム

    大阪府立大学 里見 賢治


    1.介護保険構想と「社会保障構造改革」論の台頭

    公費負担方式(租税方式)か社会保険(介護保険)方式かを中心とする公的介護保障制度のあり方を巡る政策論争は、介護保険法の成立(1998年12月)によってひとまず中間的に決着がつくに至った。しかし、そこで提起された問題は、21世紀の社会保障のあり方について依然として重大な問題を提起している。

    とくに公的介護保険構想の台頭は、いわゆる「社会保障構造改革」論に連動し、医療保険「改革」の動向にも大きく影響しつつある。ここでは「社会保障構造改革」論の台頭過程を概観する。

    2.「社会保障構造改革」論の特徴─「社会保障構造改革」はいかなるパラダイムを導くか

    「社会保障構造改革」は、社会保障のパラダイムの転換であるといわれる。しかし、果たしてそうなのか、あるいは転換であるとすれば、それはいかなる方向に導くのかを検証する。
     

    @ 「自助の補完としての社会保障」への回帰
      cf.「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」 A 商品経済的契約原理への回帰
      ・社会保険中心主義
    ・保険原理による制限的利用者本位制
    3.「社会保障構造改革」論を支える前提的認識
      @ 「日本型福祉社会」論

    A 「高齢化社会=危機」論

    B 「国民負担の増大抑制」論

    C 「社会保険幻想」 → 社会保険中心主義

    D 負担能力論・不公平論
     

    4.社会保険論の再検討─公的介護保障制度論争中間総括の必要性─
      @ 公的介護保障制度論争の争点
      ・公費負担方式か社会保険(介護保険)方式か
    ・21世紀社会保障のパラダイム
    A 社会保障の過渡的・中間的方式としての社会保険

    B 職域保険から地域保険への拡張と排除原理の顕在化

    C 相互扶助型から所得再分配型への社会保障の発展と社会保険の限界

    D 「社会保険幻想」
     

    5.医療保険制度「改革」における医療保障のゆくえ
      @ 介護保険方式の医療保険制度「改革」への拡張
      ・高齢者独立医療保険制度
    ・年金天引き方式
    ・利用者負担制度;定額制から定率制へ
    A 積立式医療保険制度論の台頭
    6.医療保障制度のパラダイム転換 ─社会保険方式中心主義から公費負担方式(租税方式)中心主義へ─

    @ 「社会保険幻想」の克服

    A 公費負担方式の医療保障制度の構想

    B 公費負担方式の高齢者医療保障制度の評価

    C 「自助の補完としての社会保障」から「自助の前提としての社会保障」へ

 
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【共通論題報告】

4.「高齢者雇用問題」と高齢社会の就業システム

    大分大学 阿部  誠


    本報告の課題は、今日の雇用管理の下で、「高齢者雇用問題」をどのようにとらえるべきかを論じ、高齢者の就業機会の確保と高齢社会の福祉ニーズに対応した労働力確保という両面から、高齢社会における就業のひとつのあり方を考えることにある。

    1.高齢者の雇用問題と雇用政策

    日本の高齢者の労働力率は、長期的には低下傾向を示しているとはいえ、先進国のなかでも際立って高いことはよく知られており、また、非労働力人口についても就業希望をもつ者が半数をこえるなど、高齢者の就業意欲はきわめて高い。この背景には、55歳以上の男子就業者の8割が、就業理由として「経済上の理由」をあげていることにみられるように、高齢者の生活のうえで就業が必要となっていることがある。

    しかし、周知の通り、就業意欲の高さにもかかわらず、高齢者の求人倍率は全般に低く、雇用環境はきわめて厳しい。不就業状態にある高齢者で就業を希望している者(55歳以上男子)の約4割は、不就業の理由として「適当な仕事がみつからない」ことをあげている。また、高齢者の仕事はサービス、保安、建設などが多く、就業先は産業、職業両面で限定されている。したがって、定年年齢をはさんで職種が変る者が4割に及んでおり、定年後の再就職では従来の能力を生かせないケースが多いということができる。しかも、再就職の場合の労働条件の低下はもとより、55歳以上での賃金の低下は明白である。

    こうした高齢者の就業問題にたいし、「65歳現役雇用システム」の構築が雇用政策として打ち出されている。60歳定年を基盤として65歳までの継続雇用や再就職あっせんを推進するというもので、そのために従来の雇用慣行や年功的な賃金・人事管理の見直しが課題とされている。一方、65歳以上については、引退過程の多様な就業ニーズに対応し、フレックスな就業機会を確保するというのが、今日の雇用政策の基本となっている。

    2.雇用管理の変化と定年制の「形骸化」

    1970年代以来、定年延長が進み、60歳定年制が定着した。しかし、定年延長の一方で、早期退職優遇制度や役職定年制などが広がり、50歳以上の退職者のうち定年前の退職は3割に及んでいる。しかも、定年前退職者の約半数はその後再就職していない。また、近年のリストラの下で中高年層の出向が増大していることもよく知られた事実である。その一方、定年後の雇用延長や再雇用制度などは拡大してはいるものの、対象者が「会社が必要と認めた者」に限っている企業が半数ちかくにのぼり、その役割は限定されているというべきであろう。しかも、多くの企業が高齢者の雇用拡大に消極的である。

    こうした点からみれば、最近の「日本的雇用慣行」の見直しを進める雇用・人事管理の下で、実態的には定年制の「形骸化」が進んでおり、雇用の流動化によって中高年齢層全体の雇用不安が高まっているということができる。したがって、60歳定年後の「継続雇用」の促進によっては、高齢者の雇用問題は解決しないであろう。

    3.高齢者の「社会参加」と非営利組織

    高齢社会において、高齢者は社会の重要な構成員であり社会にさまざまかたちでか関わってゆく必要がある。実際、高齢者の多くも社会参加を求めているが、社会参加の機会は、現状では老人会などに限定されている。高齢者の社会参加について非営利組織は従来から大きな役割を果たしてきたが、高齢者の就業意欲や就業動機を考えたとき、高齢者の社会参加と就業とを結びつける方向が追求される必要があり、そうした点での非営利組織の新たな役割が考えられる。この点で、高齢者自らが就業機会をつくりだそうという高齢者協同組合は、試行錯誤の段階にあるが、高齢者のひとつの働き方として注目される。

    4.福祉サービスと高齢者の就業機会

    「高齢社会」をむかえて、福祉サービスの分野で雇用の拡大が期待されている。とくに介護の社会化の下で介護労働力の養成・確保は緊急の課題となっている。福祉サービスの供給については、公的セクターのみによってニーズを充足することが困難とされるなかで、シルバー産業がサービス供給を担ってゆくことが考えられるが、市場を通じて必要な福祉ニーズが満たされるとは限らず、この分野での非営利組織の役割が重要になっている。

    同時に、福祉・介護の担い手となる労働力のひとつとして、就業機会を求める高齢者が考えられる。高齢者は福祉の主な対象でもあるが、実際に多くの高齢者は介護を必要としない元気な高齢者であって、専門能力の養成を通じて福祉サービスの担い手にもなりうる。高齢社会にあって、増大する福祉ニーズを満たす労働力の確保と、高齢者の就業機会の創出という両者を結合させるうえで、非営利組織の果たす役割を考える必要があろう。
     

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【共通論題報告】

5.高齢社会にむけての地域社会づくり

    一橋大学 富沢 賢治


    報告の趣旨

    本大会資料によれば、共通論題として「高齢社会と社会政策」を設定した趣旨はつぎのようである。

    「高齢化社会危機論を基礎として社会保障制度をはじめとする経済社会システムの転換が提起されている。それは国家の役割の縮小・市場の活用を基調としたものであり、社会政策の解体につながっている。」「21世紀を展望した新しい経済社会システムが求められている。それは統制や競争とは異なる自立と連帯を原理とする社会でなければならない。それはまた社会政策学にも批判と抵抗の学からの新たな展開を求めるものである。」「今や21世紀の社会経済システムのあり方を展望した改革が求められている。本大会はそうした観点から社会政策の課題と可能性を探ることにしたい。」

    私に与えられた課題は、「高齢社会にむけての地域社会づくり」という観点から上記の問題設定にアプローチすることである。

    本報告では、上記の問題に関してつぎのような論点を提起したい。

    @「21世紀を展望した新しい経済社会システム」を構想するさいは、国家(第1セクター)と市場(第2セクター)という2分法にもとづくシステムではなく、民間非営利セクターを加えた3分法によるシステムを検討する必要がある。民間非営利セクターは「統制や競争とは異なる自立と連帯を原理とする」領域である。

    A社会政策学は、「批判と抵抗の学」としては、2分法を前提として主として市場における賃労働者の立場に立つものと理解されうる(「賃労働」対「国家」)。しかし今後は、3分法を前提として、民間非営利組織(あるいは民間非営利組織に結集する市民)の

    立場からする政策要求をあわせて検討する必要がある。

    Bその政策要求の基本目的としては「地域社会づくり」が重要となる。その意味で、「地域社会づくりのための社会政策」について今後検討していく必要がある。

    報告の内容

    T 問題への接近方法

    ヨーロッパでは協同組合やNPOなどの民間非営利組織は一般的に「社会的経済」(socia1 economy)の組織としてとらえられている。EUもこれらの組織の振興を政策化している。本報告では、社会的経済という観点から問題にアプローチする。

    U EUの事例

     1 社会的経済(social economy)というコンセプト

     2 社会的経済を理念とする地域社会活性化の実践例

    V 日本の事例

     1 社会的経済セクターづくり推進する日本労働者協同組合連合会

     2 地域社会での民間非営利セクターづくりの事例

     

    長野県については、内山哲朗「地域社会における保健・医療・福祉のネットワーク形成―長野県北佐久地域の事例研究」『協同組合奨励研究報告』第20輯、全国農業協同組合中央会教育部、1995年、参照。

    lV 結論

     1 高齢社会にむけての地域社会づくり

     2 社会政策のパラダイム転換

    社会政策論においても3分法による地域社会分析が必要となっている。

    民間非営利組織づくりを支える法制度という観点からすると、ワーカーズコープ法の成立が緊急課題となっている。協同総合研究所編『労協法のすすめ』シーアンドシー出版、1998年、参照。
     
     

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【共通論題報告】

6.高齢化社会論と社会政策

    新潟青陵女子短期大学 佐藤  進


    はじめに−報告の限定について−

    1978年11月第57回大会で、わが国の高度経済成長政策から低経済成長政策への移行期において、行財政合理化政策に伴う「福祉見直し」を対象に労働、社会保障政策の検討が行われ、その後高齢社会、少子社会、女性の社会進出などに伴う各種の個別的な社会政策問題が、共通論題としてそれにかかわる制度政策の変化に関連し、国際的動向や国内動向とも絡めた論議がみられてきた。そして現在、破綻したといえ財政構造改革、社会福祉基礎構造改革などが、超高齢社会を21世紀に迎えるとされるわが国を前に、具体的な立法政策課題として提起されてきている。これらの立法政策は、社会政策で論議されてきた各種の理論と、どの様に接合しているかを含めて多くの課題を内包している。

     

    そこで、本報告では、つぎの様に与えられた課題に対してアプローチを試みたい。

    第1は、総論的問題として、高齢社会に関連する多様な社会政策の基礎にある、また社会政策立法の対象である「高齢化社会」(とりわけ高齢者)をどのように認識してきたかにあわせ、いくつかの「高齢化社会論」の論点とその政策視点について言及する。

    その1つは、高齢者と高齢化社会を生産的視点から消極的に把え、この社会の到来を公・私の対応としてマイナス面から認識する見解である。

    その2は、前者に対し高齢社会と少子社会との相関関係から必ずしも消極的に把える必要のないこと、その必然性から、公・私の対応として、この社会の到来に対するプラス面からの認識の見解などがみられる。

    これらから、社会政策側面として20世紀末の政策的到達点の現状をふまえ、21世紀にみる国民経済の展望に即し、高齢化社会の事実認識と既存の各関係秩序に対し公・私の対応をどのように構想、構築するかが課題となる。

    第2は、社会政策の諸課題に対し、社会政策の実践にかかわる社会法の分野の軸心というべき「社会政策的基本権」である生存権保障(憲法25条)とその内容、保障水準、他の憲法規範である平等保障(憲法14条)、快適生活権保障(13条)が、単なる自由権でない以上、また生存権保障がプログラム的性格をもつといえども、今日生存権自体に批判がみられている現状にふれ、憲法25条生存権保障の総合的生活保障の立法政策についてのべる。

    第3は、すでに論議されてきた高齢社会とGender Sensibleの社会政策の社会立法につき、女性のGender Sensibleの視点から、社会政策学会において家族、企業、地域、労働組合、国家分析において把え直すことの必然性提起をふまえ、報告者は、高齢化、長寿化の側面から社会立法の政策対応とその課題を俯瞰する。

    第4は、高齢社会と要援護層などの人権保障にかかる社会政策立法につき、すでに他の報告者の報告と重複しない2つの課題につきふれることにする。

    その1つは、高齢社会のとりわけ ”Very Very Old”といわれる75歳以上に多くみられるといわれる要援護高齢層の「痴呆症」や知的障害者層の財産保全とその権利擁護のための「成人後見制度」創設をめぐる立法政策の現状と課題について。

    その2つは、高齢層に関する社会的な世代間扶養とされる社会保障制度の政策の変貌と老後生活、個人責任強化の施策の1つである「リバース・モーゲージ(逆抵当融資)」制度の現状と課題、その他について。

    第5は、高齢社会の進伸に伴い、また経済停滞の伴う「福祉国家」機能の変化とその今日の「揺らぎ」現象に伴い、日本型福祉社会あるいは福祉国家の政策的動向の現状とその課題を俯瞰する。

    第6は、すでに社会政策学会は社会政策学の対象、方法論議を展開してきた。そして、その時代の社会政策問題とその国際的動向をふまえて、日本の社会政策問題とその社会的基盤の諸要因の変化への学問的分析を試みてきた。経済成長のテンポ、そして高齢社会のテンポ、そして現在21世紀を迎え超高齢社会に当面し、過去の国民経済の動向と今日の国際的なグローバリゼーション下のその到達点とそこにある課題に対し、既存、既製の発想とその許での微調整修飾による社会政策的対応によって対処しえないとされる。しかし、第2次大戦後北欧諸国を含めEU諸国の対応は、社会開発と経済開発との双輪のもとでMinorityへの平等実現とSocial Europe、Social Dialogue、Social Cohesion、Social Protectionをかかげ、新たな国家をこえた共通課題にSocial Finance(Budget)をもって対処してきた。この歩みは、体制の変革ではない。体制の変化を含め、現実の問題としてわが国でも1つの発想、その具体化として学ぶべきものをもつ。

     

    社会政策学会におけるAlter Generationとして報告の機会を与えられたことに謝し、さらに教示をいただき、研究をすすめるべく終えることにしたい。

 

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