
Q&A
Q セクシャル・ハラスメントってどんなこと?
A:
相手の意に反した性的な言葉やふるまいによって、学んだり、研究したり、仕事をしたりする権利がおびやかされることを、セクシャル・ハラスメント(性的ないやがらせ・おびやかし)、あるいはセクハラといいます。
セクシャル・ハラスメントには、さまざまなあらわれ方がありますが、相手への影響の及ぼし方の違いからは、次の2つのタイプに分けられます。
- 対価型
地位利用型ともいわれ、勉学上の、仕事上の権限や地位を利用して、単位認定・就職斡旋とひきかえに、労働条件の変更とひきかえに、性的な要求をおこなうものです。典型的な例としては、デートに誘う、交際を迫る、セックスを要求するなどの性的な誘いかけをし、それを拒否した場合に、相手への不利益をちらつかせるものです。 - 環境型
性的な言動が繰り返されることによって、勉学しにくい教育環境、働きにくい職場環境をつくったりするものです。具体的には、抱きつく、胸や腰をさわるなどの身体的接触行為によるもの、性的なうわさを流す、卑わいで不快な冗談をいうなどの言葉によるもの、ヌード写真を貼るなどの視覚によるもの、などがこれにあたります。
※レイプや強制わいせつの場合には、セクシャル・ハラスメントでもありますが、明白な性暴力犯罪でもあり、刑法によって裁かれます。
Q 日本で最初の「セクハラ」裁判は?
A:
日本で「セクハラ」という言葉が生まれ、問題が広く知られるきっかけとなった裁判は、1989年8月に福岡で起こされた「福岡セクシャル・ハラスメント裁判(福岡事件)」です。
この事件は、出版社勤務の女性に対し、同僚編集長が性的な中傷や噂を関係者や取引先に流したため、女性は困って会社の専務に相談しましたが、専務はまともに取り合わなかったばかりか、女性にも問題があると、その女性を退職に追い込んだというものです。女性は編集長の行為は不法な性的いやがらせであり、会社にも責任があるとして損害賠償を請求しました。
1992年4月16日、福岡地裁が下した判決は、編集長の行為を不法と認めただけでなく、会社は働きやすい職場環境を保つ責務を怠ったと、被告会社の雇用者としての不法行為性も合わせて認めるものでした。
この裁判以前は、「セクシャル・ハラスメント」という言葉はほとんど日本では知られていませんでしたが、事件が大きく報道されると、あっという間に「セクハラ」が流行語になりました。最近では、横山ノック元大阪知事の裁判が有名ですね。
Q 「おれがやったらセクハラで、あいつならセクハラじゃない」?
A:
同じことをしても、人によってセクハラになったり、ならなかったり。不公平なようですが、そういうことも「あり」です。「相手が望まない」性的言動がセクシャル・ハラスメントです。逆にいえば、いわれた相手がいやでなければ、セクシャル・ハラスメントにはなりません。
もっとも、セクシャル・ハラスメントになるか、ならないかについては、日頃の行いとコミュニケーションが肝心です。日頃から、女性を友人として、仕事上のパートナーとして対等に接していれば、おのずと好感度も高くなり、多少品のない言動でも、大目に見てくれたり、素直に意見してくれて「以後、気をつけましょう」ですむはずです。ところが、日頃から、女性をバカにした態度や横柄な態度で接していたりすると、本人は軽いジョークのつもりでも、相手には不快や怒りで受けとめられかねません。「なんだよ」などと居直ったりすると、ますますこじれて、収拾がつかなくなります。
セクシャル・ハラスメントとわかっててやっている人は問題外としても、悪気がなくても、相手が不快に思えばセクシャル・ハラスメントなのです。
Q 男性もセクハラを受けることがあるの?
A:
男性に対しても、「男らしさ」の固定観念やイメージを押しつけることで、性的な嫌がらせになることがあります。個性や意思を無視して「らしさ」を強要すれば、その男性にとってその学校や職場は居ずらい場所となります。言わば、女性に対する「女らしさ」の押しつけのまさに裏返しともいえましょう。
また、そもそも女性が男性からセクシャル・ハラスメントを受けやすいのは、いまの社会では地位や力のうえで一般に女性が男性より立場が弱いためです。制度上、仕事上の力関係をあからさまに、あるいは暗黙のうちに利用して、性的な圧力がかけられるとセクシャル・ハラスメントになります。したがって、逆に力関係で女性が優位に立てば、女性が男性に対してセクシャル・ハラスメントをする可能性も生まれます。女性の社会進出が進み、女性が企業で管理職など高い地位につくようになれば、その可能性が増すでしょう。実際に、ビジネスの世界で女性の進出がめざましいアメリカでは、セクシャル・ハラスメント訴訟で女性が訴えられるケースも出てきています。
Q 加害者になりやすい人って?
A:実例から
- 自分がエライと思っている人
Aさんが上司の男性から食事につきあうように言われ、断ったところ、「何様と思っているのだ!」と怒鳴りつけられました。その後Aさんは、ことあるごとに嫌がらせを受けました。
この上司、「たかがOLふぜいがおれさまに楯つくとは」との意識がありありと感じられます。職階上で上位にあるものに対し、下位にあるものは仕事外でも従って当然、と勘違いしているようです。 - 女性を軽く見ている人
Bさんは、すれちがいざまに、同僚の男性にお尻をさわられました。「何するの!」と抗議したところ、「これくらいのことでむくれるな」と開き直られました。
この男性が、「気安く」こんな振る舞いができるのは、Bさんを軽く見ているからです。Bさんがこの男性の上司だったら、この男性がお尻をさわったりするかといえば、おそらくノーでしょう。 - 無神経な人
Cさんは、最近、腹のまわりが気になるし、額のあたりも少し寂しくなってきました。OLたちに、「ビール腹」「ハゲ」などとからかわれても、笑って聞き流していますが、内心、不快に感じています。
容姿や体形をからかわれて不快なのは、男性も同じです。直接、抗議を受けなくても、デリカシーのある人なら、相手がいやがっているかどうかということは、表情や態度からわかるはずです。 - 性別役割分担意識にこりかたまっている人
Fさんが、妻の産休明けに合わせて育児休暇を申請したところ、同僚から、「恐妻家」「男らしくない」などと陰口をたたかれ、閉口しています。
子育ては女性の仕事と決めつけることは女性差別であるとともに、育児に積極的にかかわろうとする男性への差別でもあります。「性別役割分担意識」にとらわれているのは、男性にかぎりません。男女ともに、気をつける必要があります。
Q 職場内恋愛とセクハラはどう違うの?
A:
合意による恋愛や交際とセクシャル・ハラスメントとは、本来まったく別のものです。しかし、最初は自由な合意の関係として始まったものがセクハラに変わったりすることがあります。「合意で始まった関係なのに、うまくいかなくなったらセクハラと言われるのは不合理だ、それは女性の逆恨みだ」と思う人がいるかもしれません。しかし、「ただ交際がうまくいかなくなった、別れた」だけでセクハラになるわけではありません。交際がうまくいかなくなった腹いせに、相手に圧力や嫌がらせ、職場の上下関係を利用した不利益を与えた場合には、セクハラになるのです。







