留学・国際交流

2008年度 異文化体験旅行

2008年度は、ヨーロッパ体験旅行を実施しました。

企画・随行 高橋正紀(経営学部教授)
日程 2008年9月11日(木)~9月18日(木)
訪問国 ドイツ
テーマ 【スポーツ先進国ドイツから地域スポーツ振興を学ぶ】
生涯スポーツ政策の先進国であり、Jリーグがその理念とした地域に密着した非営利スポーツクラブのルーツでもあるドイツ。今回の体験旅行では、そのドイツにおけるスポーツ環境を地域レベル(村)から訪ねることで見識を深めると同時に、大学発でドイツ全土に広がりを見せている「バルシューレ・ハイデルベルグ」(子供のボール運動教室)を創設したハイデルベルグ大学のロート教授を訪ねることで、日本における地域スポーツ振興活動の可能性を探るきっかけを作る。そのことで、スポーツ経営学科が開設して3年目における画期ともしたい。
渡航費 29万9千円(うち50%を大学が補助)

異文化体験報告

ドイツで学んだこと

経営学部 スポーツ経営学科 3年 戸倉 克也

私はこれまでサッカーを小学生のころからやってきて、日本のサッカー人気が徐々にあがり、指導者や審判、コートや選手の技術面、地区選抜と県選抜、日本代表との縦のつながりなど、あらゆる面で環境の整備が行われており、レベルが上がっているということを聞いていたし、実際に感じていました。しかし、テレビなどで国際試合やヨーロッパや南米のサッカーリーグを見ていると、スピード感や技術などに明らかな違いがあることを認めずにはいられませんでした。中学生のときブラジルに福井県から選抜されてサッカーの遠征に行った際には、私たちと同世代の子達が荒れたグラウンドで死に物狂いにボールを追いかけている姿を見ました。彼らは家族を養い、自分が生きていく術としてサッカーをしていることを肌で感じ、それが彼らの強い所以だと学びました。しかし、ドイツではそれとはまた違った強さへの理由がありました。

ドイツに行って最も驚き、日本との差を痛感したのが、国におけるスポーツ価値の高さやスポーツを行ううえでの充実した環境です。ハイデルベルグ大学を訪問した際、バルシューレという低学年の子どもたちが球技の基礎技能を修得できる遊び感覚で行うボールゲームの見学をしました。そこでは、学生が子どもたちに指導をしており、学校で学んだことへの学習理解や指導方法などの促進につながっているのだと感じました。また、彼らは地域スポーツクラブの指導者にも指導を行っているらしく、学校での活動が地域の指導力にもつながっていることにも驚きました。そして、バルシューレの講義が終わるとき子どもたちには修了書が渡されるらしく、そこにはその子どもがどんな球技に向いているのかが記載されており、それを元にスポーツクラブでの競技選びをするという話しを聞きました。このようにして効率よく指導者や選手を育て上げるシステムが土台にありました。

そういう過程を経て、子どもたちはスポーツクラブに入団します。ドイツでは学校で部活のような活動はないらしく、放課後や休日にスポーツを行うためには、スポーツクラブのチームに入るそうです。このスポーツクラブもまた日本とは位置づけも規模も違ったものでした。スポーツクラブを見学する前日「小さいスポーツクラブ」と聞いていました。ですが実際行ってみると、きれいに整備されたサッカーコートが2面あり、小さいコートがもう1面、レストランとその他更衣室や事務所などの建物があり、予想よりはるかに大きい施設に驚きました。そしてその施設を建てるのに、市が約半分近く負担し、ほぼ非営利で運営しているということを聞きました。私は過去にフィットネスクラブでアルバイトをしていた経験があります。そこは会員の方たちの健康管理や体力向上が一番という表向きで、いったん事務所に入ると売り上げや会員数を重視していて、思い描いていたものとの差を感じ、ショックを受けました。もちろん営利クラブなので、経営し続けるためには、必要なことだとは思いますし、実際真剣に指導をしていましたが、ドイツの非営利クラブと比べると、目的がはっきりとスポーツに向けられているという点で大きな差が生まれてしまうのではないかと思いました。それから、リーグの階級も細かく分かれているそうで、ジュニアチームのときからいくつかのリーグに別れ、リーグ優勝や入れ替え戦などで、死闘を繰り広げているそうです。その効果もあってか、地域の人が自分の地域のチームを応援している姿勢が多く目に付きました。こういう姿を見て、私はドイツという国のスポーツ文化の高さに嫉妬しました。ドイツ国民にとってスポーツをすること、応援することは生活の一部であり、なくてはならないものなのだと。

なぜこのように効率がよく柔軟な発想ができるのか。それは日本もドイツも戦後、敗戦国でありながら日本はアメリカ型の教育をして、ドイツは独自の教育方針をとったことが大きいのだと学んだおぼえがありますが、その教育の違いが生んだ結果ではないかなと感じた体験をしました。Sport Stuttgartというスポーツに関する企業が集まった施設に訪問したとき、そこには会議室がいくつかあり、それぞれ椅子の変わりになるものが異なって設置してありました。1つは大きなサッカーボール型のクッションで、1つはエアロビクスに使う足場の台のようなもの。他にもエアロバイクやスクリーンルームなどがあり、時間で区切り、順に部屋を変えながら会議をするそうです。環境が変われば、考え方や見方が変わり、その結果、柔軟な発想が生まれるためだそうです。私も自分の考えが行き詰ったときには、これを真似て、一点にとどまらず、いろいろ体勢や場所を変えながら物事を考えてみようと思いました。

スポーツを行ううえでの身の振る舞いにも学ぶべきところがありました。ホームステイをした地域のシニアチームとサッカーの試合を行いました。試合前は笑顔を振りまいていた人達が、ゲームが始まると真剣な表情で、向かってきました。公式試合さながら、厳しいプレッシャーに圧されました。ですが、ひとたび試合が終ると、また試合前の笑顔で、私たちのところへ寄ってきて、互いに互いのプレーを称えあいました。高橋先生の講義で学んだ「相手を尊敬する」という「スポーツマンの心」をドイツの人達は実際にもっていることに感動しました。このとき私は始めて「ノーサイド(敵味方の境界線がなくなる)」という言葉を本当の意味で理解できたのではないかと思います。

スポーツ面以外にも感銘を受けました。日本とは違い、ヨーロッパは国同士が陸続きということもあって、いつ攻め込まれてもいいように集落ごとに密集して家が並んでいました。建物の高さ制限などがあるのか、どの家も似たようなつくりでした。そして、最近の日本ではあまり見受けられない世代を越えた地域交流の場が多くありました。それもあってか、そういう環境がワイン作りなど伝統的文化を今に伝える技術継承につながっているのではないか思いました。

この経験を生かし、これからの人生において少しでも日本のスポーツ文化の向上に貢献できる活動をしていけるように励みたいと強く感じた体験になりました。

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異文化に触れた貴重な体験

経営学部 スポーツ経営学科 3年 久保 綾香

今回、初海外だったので楽しみな反面、不安もありました。言葉が通じない環境で生活していく不安は思っていた以上に大きかったです。

まず、研修では、スポーツに関連した施設を中心に見学を行いました。スポーツ企業が集結している施設では、スポーツ界を様々な企業全体で一緒に盛り上げていこうとする勢い を感じました。同じ施設内に事務所があることは協力しあえたり、連携がとれやすくなるので、1企業単独の事業よりも中身の濃い事業展開を臨むことができるのではないだろうかと思いました。総合型地域スポーツクラブの見学で、小さな街のクラブを見学しました。
スポーツはサッカーのみの実施でしたが、会員は子ども400人。芝のコートと雨が降ったあとでも練習ができるように、水はけのよいコート、外国人専用のコートが当たり前のように使われていました。更衣室にはシャワーが必ずあり、室内練習もできる環境が整っていました。これが小さいクラブなのか!と思いました。日本だったら、充分に大きなクラブになる程の設備と環境です。クラブチームも活発で、昇格を果たしていたり、プロが教えています。子どもが学校を終えたらクラブに来て、練習をしていました。ドイツと日本ではスポーツの位置や基準が既に違っているのだと感じました。スポーツは地元のクラブですることが当然になっていて、応援するのも地元のクラブチーム。応援するクラブチームで小さい頃から練習をして、将来はそのチームでプレイをしていく。という形が既に出来上がっていました。日本ではまず、考えられないなと思いました。なので、日本もドイツのようなスポーツ環境に方向転換をしていけたらと思いました。

また、ミュンヘンを訪れたときに見学したアリアンツアリーナは、サッカー専用のスタジアムになっていました。陸上のトラックと併設されていない芝のサッカーコートを、3階建ての観客席が囲んでいました。日本では見たことがなかったので驚きました。

わたしはゼミでもサークルでも、ドイツで生まれた「バルシューレ」という、運動に基礎能力の向上を目的としてつくられた運動をイベントとして行っています。今回、ハイデルベルグ大学にバルシューレの見学ができて、これからの自分の活動を考えるキッカケになりました。ドイツでは現在、1年間のスクールとしてお金を取り、実施していることが多いということを知りました。それほど認知度が高いから出来ることであって、ドイツ内にも浸透しているスポーツ運動なのだと感じました。バルシューレを教えるのは私たちと同じで大学生で、16人までを1人で教えると聞きました。サークルでは25人を10人ほどで見ていたときがあったので、もっと少ない人数での実施が可能なのだと思いました。
人員削減の効果はまだありました。バルシューレは子どもに教えすぎ、付きっきりになりすぎてもいけない運動ということで、指導員の人数が多いと逆に能力を育てにくいということです。見学したときの指導員も、運動のやり方を説明するのみで、こうすれば上手くいく・これはやってはいけない、とは言わないで、子どもの創造力に任せていました。子どもは自由に動ける中で効率のよい運動の仕方を見つけていたり、1人1人がルールに囚われすぎることなく動いているのがわかりました。最低限のルールの中で自由に動くことが子どもの創造力や能力を育てていく力になるのだと思いました。今後、自分がイベントを実施するときに役立てていきたいです。

研修の中でも、わたしの中での大きなイベントはホームステイをしたことでした。わたしがお世話になった家庭には10歳の男の子と24歳のお兄さんが居て、仲良く話すことができました。お土産に持っていっただるまや日本のお金も喜んでもらえて一安心です。たまたま、英語が通じる家庭だったので、コミュニケーションはほとんど英語でした。自分の英語が通じるか不安で初めて話すときはとても緊張しました。その不安も話していくうちに消えていき、自信がついていきました。ホームステイの夜はホームステイ先の家族が全員集まって、パーティーをしてくれました。ドイツの家庭料理にビール・ワインが並び、楽しい食事会でした。メンバーのことをより知っていくこともできたし、ホームステイの家族と話す機会にもなりました。自分自身が一人暮らしをしていることもあり、久しぶりに大勢で食べる食事は美味しかったです。ドイツ語でのコミュニケーションは残念ながら上手くできませんでした。フィーリングが頼りで、自分からドイツ語で会話をすることはできなかったです。返事やお礼・挨拶は最低限やっていこうと思い切って話してみて、通じたので嬉しかったです。知らない国の知らない人に2泊もお世話をしてもらえたことで、わたしの中にも変化がありました。言葉が通じない代わりにわたしが出来たことというのは、反応の良さと笑顔です。わかれば頷いたり、首を横に振ったり、ジェスチャーをしたりすることは大きなコミュニケーションの1つになって、会話をするときに役立ちました。日本で会話をするときも、無反応より反応が良いほうが会話が弾むし、反応をすることの大事さを改めて実感しました。あとは笑顔です。普段から笑顔を心がけているのですが、家族と話すときも笑顔を忘れずに生活しました。笑い合うだけで何か通じるものがあって、嬉しかったです。これからも笑顔を欠かさないようにしていこうと思います。一番楽しみで、一番不安だったホームステイが成功して本当によかったです。

ドイツと日本では違う所も多かったです。ドイツは日本と同じ先進国であっても緑が多く、近代化されすぎていない印象を持ちました。コンクリートジャングルもないし、高層ビルも少なかったと思います。先進国の全てが日本と同じ雰囲気ではないのだと思いました。
お家も窓が小さかったり、煙突があったりしました。歩行者天国になっているメインストリートがあり、車道と区別してあって歩きやすかったです。最新の建築様式で造られた市役所は芸術的雰囲気が漂っていて、日本の最新建築とは全然違っていました。

日本に住んでいたら、日本が当たり前になって自分の視野が小さいまま社会人になってしまいそうでした。今回の海外研修で異文化に触れ、肌で体験できたことを、体験のままで終わらせることなく、将来や学生生活にプラスして有意義な生活を送っていきたいと思います。

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